事例問題:名誉毀損とストーカー行為の狭間で

事例

私は、A(38歳、会社員)といいます。最近、私はうつ病を抱えている友人女性のB(34歳、無職)と言い争いになり、感情が高ぶって「お前に生きる権利はない」と言ってしまいました。この衝突は、彼女が頻繁に私に「死にたい」と訴えるメッセージを送ってきたことに起因しています。彼女のこうしたメッセージに私は心が重くなり、彼女の一つの不適切なメールに怒りを感じてしまったのです。その結果、彼女に対して、ひどい言葉を投げかけてしまいました。

その後、彼女は私のこの発言がモラルハラスメント、脅迫罪、あるいは自殺関与罪に当たると主張し、警察に訴えると脅しました。私は彼女に謝罪しましたが、彼女は訴える意思を変えず、さらには連日、私に対して執拗なメールや電話での嫌がらせを続けています。このことで私は大きな精神的な苦痛を受けています。そこで、相談です。

  1. 私の発言は、何らかの犯罪になってしまうのでしょうか。
  2. 彼女の行為をストーカー行為として訴えることはできますか。

状況の整理

Aさんは、は、会社員として忙しい日々を過ごす一方で、友人や知人との人間関係にも気を配るタイプです。彼は他人の感情に敏感で、相手の悩みに対して共感しやすい性格です。しかし、その反面、精神的なストレスに弱く、特にネガティブな感情を持つ人とのやり取りにおいては、自分自身も疲弊してしまう傾向があります。

今回の事態は、太郎がストレスの限界に達し、思わず感情的になった結果です。Aさんの事例を検討していきましょう。相手方は、Aさんの「生きる権利がない」との発言が、「モラハラ、強要罪、自殺幇助罪に当たるので警察に訴え」ると相手方が主張しています。これに対し、Aさんは、自身の発言が何らかの犯罪を構成しないか心配しています。

強要罪や自殺関与罪は成立しない

本件の場合、自殺関与罪(自殺教唆・自殺幇助)は成立しないでしょう。自殺教唆とは、自殺意思の無い者を唆して自殺を決意させ、自殺させることです。自殺幇助とは、自殺の決意を有する者の自殺行為を援助し、自殺を遂行させることです。上記の発言だけでは、「自殺を決意」又は「自殺行為を援助」したといえるほどの評価は難しいでしょう。

また、や強要罪も成立しないでしょう。強要とは、脅迫又は暴行という手段を用いて、人に義務のないことを行わせ、権利行使を妨害するという結果を生じさせることです。上記の発言だけでは、脅迫又は暴行という行為があったと評価するのは難しいでしょう。

名誉棄損罪・侮辱罪の成立の可能性

名誉毀損罪や侮辱罪の可能性はありますが、その発言が公然と行われたか、密室での発言だったかによっても異なります。たった1回、1対1の状況で、上記の発言が行われた程度なら、Aさんが刑事責任や民事責任を負う可能性は低いでしょう。

また、仮に名誉毀損罪や侮辱罪が成立するとしても、上記の発言だけで警察が本腰を上げて捜査するのも考えにくいと思います(相手方が、事実を誇張するなどして警察に被害届を出すなどした場合は、何らかの対応が必要になるかもしれませんが)。

訴える・内容証明を送ると言われたら

彼女が「弁護士から内容証明を送る」と言っている場合、彼女があなたに何を求めているのかが問題です。考えられる要求は、発言の撤回や謝罪、あるいは心的苦痛に対する慰謝料の要求などです。しかし、内容証明の送付や民事訴訟の提起は相手方の意向によります。彼女が訴訟を起こしたとしても、その請求が認められる保証はありませんが、対応には手間がかかります。その場合には、弁護士にご依頼いただくのがよいでしょう。

ストーカー規制法における「つきまとい等」に該当?

最後に、彼女の日夜を問わないメールや電話による嫌がらせについてですが、これはストーカー規制法における「つきまとい等」に該当する可能性があります。専門的な対応が必要な場合が多いため、深刻な状況であれば、弁護士に相談することをお勧めします。

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